梶谷懐

「監視社会化」は、人びとのプライバシーが政府や企業に筒抜けになるという負の側面があるとともに、多くの人びとにとっては行政や金融、医療などのサービスがより便利で効率的に受けられる便益も伴っています。この二つを比べて、便益の方が圧倒的に大きいと感じている人が多いので、監視社会化が支持されているのでしょう。 とりわけ金融サービスが典型的な例ですが、中国では取引関係において個人の信用を見極めるのが非常に難しいと思われていました。このような社会では個人情報が一元的に管理され、信用状況の評価を受けられることは、プライバシー侵害の問題を差し引いても経済的便益が上回った、ということだと思います。